ポール佐藤の「まちの音まちの色」第13回

 台風が近付いていて雨模様の日曜日。僕は愛車の軽バスで海へ向かった。最近お気に入りの「大橋トリオ」を聴きながら。優しく曇った声は薄暗い空によく似合っていて、雨の日のドライブが却って楽しい。
 上機嫌でやってきたものの、白浜海岸には人影も無く、もう夏がいってしまったかのようなもの寂しさだ。この絵ッセイの締め切りが三日後に迫っていて、明るい夏らしい絵を描きたかったのだが、うまくいかないものだ。日中に描くチャンスは今日しかないから、車の後部ドアを跳ね上げて、荷室に寝っ転がってスケッチする。まるで夏休みの最終日に宿題に追われる小学生みたいだな。

 
 明日は始業式だというのに、僕の工作は行き詰まっている。ヤクルトの空き容器をくっつけて、カッコいい宇宙船を作る構想だったのだが、容器が足りない。田舎だったから近くの商店には売ってない。母に泣きついて、電車でないと行けない町から調達してもらった。そして全部空にした。ヤクルトは大好きだけど、あの時いったい何本飲んだのだろう?

 
 雨の白浜海岸を描きながら遠い日の夏休みを思い出していた。僕の人生で一番、腸内細菌が元気だったあの日…ゴロゴロ…。

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